平成26年4月1日

制定

大東四條畷消防組合消防隊及び救急隊等との連携活動に関する基準

消防隊と救急隊等が連携して傷病者の救出及び救護処置を迅速かつ安全に行う活動(以下「PA連携」という。)に関する基準を次のとおり定める。

第1 PA連携の消防隊等出場基準

1 交通事故

(1) 阪奈道路上下線

① 上り線は、国道170号(旧国道)寺川交差より奈良県側とする。

② 下り線は、奈良県側より国道170号変電所西交差までとする。

(2) 国道170号(大阪外環状線)

(3) 近畿自動車道

(4) 主要地方道大阪中央環状線(府道2号)

(5) 第2京阪道路

(6) 国道1号バイパス

(7) 国道163号(トンネル以外)

2 急病及び一般負傷等

(1) 受報内容から心肺停止又は疑わしいと判断した場合

(2) 4階以上の建物で、エレベーター等がなく救護処置及び救出・搬送が困難である場合

(3) 体重及び体格その他身体的な事由により、救急隊員3名では救護処置及び救出・搬送が困難である場合

3 その他

(1) 集団暴力行為や傷害事件等で傷病者を保護する必要があり、又は救急隊員及び車両の安全確保が必要である場合

(2) 救急車両の進入困難な道路や山林等において、救護処置又は収容のため救急隊員が車両から離れなければならない場合の車両等の安全確保及び患者搬送の応援が必要と認められた場合

(3) 救急隊の現場到着が大幅に遅延すると予想され、又は他の救急隊の動向等によりやむを得ず消防隊等が先着し処理に当たる場合

(4) (1)から(3)までに掲げるもののほか、救急隊長又は通信勤務員等が必要と認める場合

第2 運用要領

1 出場指令等

(1) 第1の1、2の(1)(2)及び3の(1)(3)においては、通報受信時の時点で、指令室はPA連携の必要があると判断して、消防隊等との同時出場指令を行うものとする。

(2) 第1の2の(3)及び3の(2)においては、現場到着した救急隊長から応援要請があれば、消防隊等の出場指令を行うものとする。ただし、指令室は、受報内容でPA連携の必要があらかじめ予想される場合は、消防隊等との同時出場指令を行うものとする。

(3) 第1の3の(3)の場合、通報者に対して消防隊が先行する旨を可能な範囲内で通知するものとする。

(4) 第1(PA連携の消防隊等出場基準)の基準を満たしている場合であっても、通報内容から通信勤務員等がPA連携の必要がないと判断した場合は、この限りではない。

2 運用要領

1に基づき消防隊等を出場させる場合の運用要領は、次のとおりとする。

(1) PA連携に出場させる消防隊等は、救急事案発生場所を管轄する署所の消防隊とする。ただし、管轄署所以外の消防隊等を出場させる方が適切と判断した場合は、この限りではない。

(2) 管轄署所の消防隊等が出場不能の場合は、署所の応援順位に基づき、消防隊等を出場させるものとする。

(3) PA連携を行う消防隊等の編成は常時の警備配置とし、救急救命士、救急科研修修了者又は応急手当指導員(以下「救急処置要員」という。)を最低1名以上含む隊員によって構成されていることが望ましい。

第3 指揮

1 PA連携

消防隊等の隊長が、安全管理その他PA連携に係る活動全体の指揮を行う。

2 救急活動

救急処置活動の指揮は、救急隊長が行う。

3 その他

出場規模が拡大し、複数の消防隊及び救急隊等が出場した場合は、出場隊の最上級者が指揮を行う。

第4 消防隊員等が行う救急処置等の範囲

1 傷病者の観察

救急処置要員が実施することを原則とする。

2 傷病者に対する救急処置

各隊員の有する救急処置の資格の範囲内で実施する。

第5 活動要領

1 出場時の服装は、活動服、保安帽に半長靴等とし、救急処置要員はゴム手袋、マスク及び感染防護衣等を着用する。なお、火災出場時の標準装備についても携行する。

2 PA連携に出場した消防隊等は、活動中に火災等が発生した場合には、必要な措置を講じた後に指令室に報告の上、転戦出場するものとする。

3 消防隊等の隊長は、転戦可能となった場合は、指令室に報告し出場態勢をとる。

4 消防隊等がPA連携を行う際の留意事項については、別紙1のとおりとする。

5 PA連携における消防隊等の救急処置要領は、別紙2のとおりとする。

第6 報告

1 PA連携の活動結果は、消防隊等が活動の安全確保及び救急処置等を行った場合は、その内容を「救急活動記録票」に記入し、所属長に報告する。

2 PA連携活動中において、消防隊等が交通事故等による油漏れ処理等の消防活動を行った場合は、「警戒・その他概況報告書」により、所属長に報告する。

第7 その他

1 本運用に係る出場手当については、「救急出場手当」として処理する。ただし、消防隊等が油漏れ処理等PA連携以外の消防活動をした場合は、「水火災等出場手当」として処理する。

2 PA連携により感染症に感染した場合及び感染のおそれが生じた場合は、大東四條畷消防組合感染防止対策要綱(平成26年大東四條畷消防組合消防本部訓令第54号)に基づき対処するものとする。

3 所属長は、消防隊等と救急隊とのPA連携活動技能の向上のため、月間訓練計画における救急訓練計画を強化するものとし、本運用の効果があがるようにすること。

この基準は、平成26年4月1日から施行する。

別紙1 PA連携上の留意事項

1 出場指令内容例

(1) 指令室の判断(出場基準等)によるPA連携の出場指令例

① 「PA同時救急出場、場所、○○地区○丁目○番大阪外環状線○○対象物付近、交通事故、負傷者ある模様、詳細は・・・。」

② 「PA同時救急出場、場所、○○町○番○号、○○マンション4階建402号室、急病、患者歩行困難、エレベーター設置なし。以上」

③ 「PA同時救急出場、場所、○○地区○○公園内、集団暴力行為、負傷者発生。以上」

(2) 救急隊からの応援要請に基づく、出場指令例

① 「その他出場指令、場所、○○町○○番地○○宅内救急事案において、患者搬出困難のため応援要請あり、○○隊出場せよ。以上」

② 「その他出場指令、場所、○○地区、○○団地○○号棟、3階○○号室救急事案で女性(妊産婦)の腹痛、場所が狭隘で搬送困難のため応援要請あり、○○救急隊出場せよ。以上」

(3) 出向中の消防隊等へのPA連携出場指令例

「おおしょう本部よりおおしょう○○、PA連携出場、場所○○地区○○丁目○○付近交通事故、なお○○救急隊出場中。以上」

2 現場活動

(1) 停車位置等

① 二次災害防止のため、活動上の安全が確保できる位置とする。

② 消防隊等は、救急隊の進入路及び搬送路等を配慮し、PA連携に支障のない位置で、かつ、他の災害に転戦出場できる位置とする。

③ 消防隊等の停車による交通障害についても考慮する。

(2) 現場指揮

PA連携現場の指揮は消防隊等の隊長(以下「PA連携隊長」という。)が行い、PA連携を安全かつ円滑に行うため、活動全般を統括する。

なお、傷病者に対する救急処置など、救急活動の指揮は、救急隊長が行うものとする。

(3) 応援要請

複数の傷病者がいる場合は、必要に応じて他の救急隊の応援要請をするものとする。この場合の基準は、救急1隊当たり、中等症以上は1名、軽症は乗車定員内をおおむねの基準とする。

また、状況に応じて、活動に必要な消防隊等及び装備資器材についても、応援要請を行うものとする。

(4) 現場行動

① PA連携隊長は、現場到着後直ちに傷病者及び関係者に対し、消防隊等は初動時の安全かつ救護活動の応援出場であり、消防隊等では搬送しない旨を説明するものとする。

② PA連携隊長は、事故の様相及び傷病者の状態等の状況から行動手順を決定し、「安

全・迅速・救護」の基本を重視した活動指示を行う。

③ PA連携隊長は、隊員の任務を分担し、容態観察及び救急処置が適切かつ円滑に実施できるよう、隊員間の連携を図る。

④ 消防隊等が先着した場合は、救急隊が到着するまでの間、傷病者の救命及び安全の確保を最優先に活動し、救急処置要員が傷病者の容態観察、救急処置及び応急救護処置(以下「救急処置等」という。)を行う。

⑤ 救急処置等を行う場合、救急処置要員はゴム手袋、マスク及び感染防護衣等を着用する。

⑥ PA連携隊長は、救急隊長と連携を密にし、救急処置要員の感染の有無を確認する。

⑦ 集団暴力行為、傷害事件等で救急隊員に対する加害危険の防止及び傷病者の円滑な救急活動を確保するために出場した消防隊等は、安全な救急活動を行うための隊員の警戒配置及び救急処置の連携等を行うものとする。

3 転戦等

PA連携に出場した消防隊等は、安全面、傷病者の症状及び状況等から応援の必要がないと判断した場合は、直ちに転戦可能である旨を指令室へ報告する。

4 現場引揚げ

消防隊等は、PA連携隊長が救急隊と連携した活動の必要がなくなったと判断した時点で、現場の安全を確認した後に引き揚げるものとする。

5 感染防止

PA連携の際には、感染症予防対策として、「感染防止対策要領」に基づき、感染症予防及び汚染防止に十分留意して行動する。

別紙2

PA連携における消防隊等の救急処置要領

大東四條畷消防組合

目次

項目

第1 適用事象

第2 活動の基本

1 一般原則

(1) 留意事項

(2) 回避事項

2 行動手順

(1) 観察・情報収集

(2) 応援要請

(3) 任務分担の指定

(4) 移動・動揺の防止

3 不搬送への対応

(1) 搬送拒否

(2) 社会死状態

(3) 死亡確認

(4) 傷病者なし

第3 行動要領

1 救急現場

(1) 遵守事項

(2) 観察要領

(3) 重症度の判断

2 救急処置

(1) 実施要領

(2) 処置内容等

(3) 基本的処置手順

(4) 拒否時の対応

第4 傷病者管理等

1 傷病者管理

(1) 管理責任

(2) 所持品の取扱い

2 関係者等への対応

第5 救急隊との連携

1 救急隊後着時の措置

2 救急隊との連携

(1) 救急処置等

(2) 救急車内収容時

第6 感染防止等

1 感染防止

(1) 観察及び処置上の留意事項

(2) 感染事故発生時の対応の基本

(3) 発生時の応急処置要領

(4) 廃棄物処理

(5) 感染防止対策の基本

2 妨害行為発生時の措置

(1) 基本行動

(2) 防止対策

(3) 発生時の行動

PA連携における消防隊等の救急処置要領

第1 適用事象

本活動要領は、消防隊等がPA連携現場において行う救急処置等について適用するものとする。

第2 活動の基本

1 一般原則

(1) 留意事項

① PA連携の意義及び必要性等を傷病者及び家族等関係者並びに周囲の人に理解してもらうように努める。

② 業務の対象となる傷病者は、傷病の軽重のみによって決まるのではなく、また、隊員の判断で決まるものでもない。傷病者自身及び家族等関係者又はその周囲にいる人の危機感の有無等が救急対象の判断要件となる場合もあるので、慎重に行動する。

③ 接遇は弱者の立場に立ち、言動が事務的であったり、粗野あるいは粗暴にならないように注意する。

④ 意識、呼吸及び循環に障害がある傷病者の救護に当たっては、指令室と救急隊等との連携を密にして行動する。

⑤ 現場で警察官の行う職務と競合する場合は、傷病者救護の重要性を説明し、救急処置を優先して行う。この場合、救急活動に支障のない範囲で現場保存等に留意する。

⑥ 家族等関係者に傷病者の観察結果及び救急処置等について説明し、現場活動への理解を求めるものとする。

(2) 回避事項

① 明らかに死亡している場合及び死体現象がある場合を除き、安易に死亡していると決めつけない。

② 推測した傷病の軽重及び予後について言及しない。

③ 医療機関の施設、診察能力及び風評等に関することは口外しない。

④ 傷病者のプライバシーに関すること、その他知り得た情報を漏らさない。

⑤ 家族等関係者が消防隊等到着以前に行った応急手当で過誤があったと認められる場合でも、これをたしなめたり中傷するなどの自尊心を傷つけるようなことは、決して言わない。

2 行動手順

救急現場に到着した消防隊等の指揮者は、現場の情報に基づき、一体となった行動が実施できるように努める。

なお、家族等関係者からの情報収集は、消防隊員等が具体的な行動に着手するための重要な要素であるので、手際よく行う。

(1) 観察・情報収集

現場に到着するまでの間において、出場指令内容等から傷病者の状態や損傷部位を推測し、現場においては次の内容を可能な範囲で把握する。

① 傷病者の置かれている状態、症状及び主訴

② 損傷の部位、受傷内容及び発病後の経過

③ 現場にいる群衆の動静

④ 二次災害の発生危険等

(2) 応援要請

傷病者の傷病程度及び状態に対応した行動を取るために、早急に状況を把握して的確な判断をし、かつ、早期に必要な消防隊等の応援を要請する。

(3) 任務分担の指定

指揮者は、隊員を傷病者のためにどのように活用するかを考え、観察、救急処置内容及び隊員相互の連携について指示・命令する。

(4) 移動及び動揺の防止

傷病者の状態把握が不十分のまま、不用意に動揺を与えたり、無計画に移動すると傷病者に悪影響を及ぼす結果となる場合があるため、移動は原則として救急処置実施後に行うものとする。ただし、二次災害発生の危険があり、やむを得ず移動する場合は、必要最小限にとどめる。

なお、意識のある傷病者に対しては、移動の目的をよく説明し、心身の準備をさせ、移動の協力を求めるように配慮する。

3 不搬送への対応

救急現場到着時、傷病者が搬送を拒否した場合等の対応は次のとおりとする。

(1) 搬送拒否

搬送拒否の事案では、現場到着時に傷病者の症状が回復した場合が多くを占めているが、傷病者等の言動のみで不搬送と安易に判断することなく、専門的技能を有した救急隊員の判断等によるものとする。

(2) 社会死状態

社会死の要件を正しく理解して、十分な傷病者観察を行い社会死状態を判断する。

なお、社会死状態であれば救急処置に着手しないものとするが、社会死状態の判断に迷う場合には救急処置を行い、その後の対応については、救急隊の指示に従うものとする。

傷病者が明らかに死亡していると判断する要件は、おおむね次のとおりである。

① 傷病者の頭部、体幹の切断等の状況から、社会通念上死亡と判断できるもの。

② 傷病者の四肢の硬直又は死斑等の状況から、社会通念上死亡と判断できるもの。

傷病者が明らかに死亡していると判断した場合には、礼を失しないよう、また、粗雑に扱わないように注意するとともに、家族へも哀悼の意を表すようにする。

(3) 死亡確認

現場の医師により死亡が確認された場合は、関係者等に状況を説明して傷病者への観察は行わないものとし、死亡確認した医師の所属及び氏名等を聴取するものとする。

(4) 傷病者なし

傷病者が現場に存在しない場合は、指令室等との連絡を密にして対応する。

第3 行動要領

救急現場に最先着した場合の行動要領は、次のとおりとする。

なお、救急隊が先着している場合は、救急隊と連携を密にして行動する。

1 救急現場

(1) 遵守事項

① 凄惨な救急事故であっても、消防職員としての職責を自覚し、毅然とした態度で行動する。

② 傷病者への観察及び救急処置の実施に当たっては、十分配慮して行動する。

(2) 観察要領

① 観察は、傷病者の周囲の状況、救急事故の形態及び傷病者の状態を把握し、救急処置等の判断に資するために行う。

② 観察は、五感を駆使して、傷病者に接してから救急隊に引き継ぐまでの間、継続して行う。

③ 観察の実施に当たっては、家族等関係者から事故の発生状況及び現場到着までの傷病者の症状、経過等を聴取する。

④ 傷病者からの主訴及び受傷部位を確認するとともに、別表1に示す観察区分に従って観察を実施する。

なお、観察は救急救命士、救急科研修修了者又は応急手当指導員が行うことを原則とする。

(3) 重症度の判断

傷病者の重症度判断は、傷病者の症状及び受傷状況等をとらえて行う。

① 傷病者の症状から次の徴候が現れている場合には、一般的に重症と判断する。

ショック徴候の5Ps

ア 蒼白(pallor):末梢循環障害の結果、皮膚が蒼白となる徴候

イ 虚脱(prostration):脳循環の低下による虚脱徴候

ウ 冷汗(perspiration):四肢末梢にみられる冷汗で末梢循環障害の徴候

エ 脈拍不触(pulselessness):ショックにみられる脈拍微弱

オ 呼吸不全(pulmonary deficiency):ショックでの呼吸障害

② 外傷事案の受傷状況が次の項目に該当する場合には、一般的に重症と判断する。

ア 胸腹部刺創及び銃創

イ 高所墜落(約5m以上の場合)

ウ 機械器具に巻き込まれた。

エ 体幹部が挟まれた。

オ 車から放り出された。

カ 同乗者の死亡

キ 救出に20分以上要した。

ク 車の横転

ケ 車が著しく損傷している。

コ 車に轢かれた。

サ 5m以上はね飛ばされた。

シ 受傷機転不明

2 救急処置

(1) 実施要領

① 救急処置は、救急救命士、救急科研修修了者又は応急手当指導員が行うことを原則とする。

② 隊員の救急に関する資格に応じて、必要な救急処置を分担して行う。

③ 傷病者の状態から、呼吸及び循環機能等、救命に必要な処置を優先して行う。

④ 複数傷病者の場合は、観察結果に基づき、症状の重い傷病者から順次適応する処置を行う。

⑤ 傷病者の移動及び動揺は必要最小限にとどめ、症状の悪化を防止し、苦痛の軽減を図る。

(2) 処置内容等

① 周囲の状況から、危険防止等やむを得ない場合を除き、傷病者を搬送する前に必要な処置を行う。

② 現場の様相及び周囲の状態に惑わされたり迅速性にとらわれて、症状に適応した処置を忘れないようにする。

③ 救急処置の内容及び方法によっては、必要な救急資器材を活用し、救急処置を実施する。

(3) 基本的処置手順

① 耳元で2~3回呼びかけながら、併せて肩を2~3回叩き傷病者の反応を見る。

② 拇指の指腹で、傷病者の胸骨中央部を強く圧迫し、痛み刺激に対する顔面及び四肢等の反応を見て意識レベルの評価(別表2)を行う。

③ 反応がなければ開口して、口腔内に分泌物及び異物等がある場合は、必要な処置を行う。

④ 気道を確保する。

⑤ 呼吸及び心臓の動き等を観察・確認し、必要であれば人工呼吸又は心肺蘇生法を実施する。

⑥ 応急的に外傷等の処置をする。

(4) 拒否時の対応

① 傷病者の観察を行い、これに基づく救急処置の必要性を十分に説明する。

② 当直責任者へ拒否理由等の報告を行うなどして、密接な連携を取りながら対応する。

③ 救急隊到着までは、拒否された以外の救急処置を実施する。

④ 実施した観察結果、相手への説明内容及び拒否理由等を救急隊に引き継ぐ。

第4 傷病者管理等

救急現場に最先到着した場合の傷病者管理等は、次のとおりとする。

なお、救急隊が先着している場合は、救急隊長の指示により傷病者管理を行う。

1 傷病者管理

消防隊等は、傷病者を救急隊に引き継ぐまでの間、消防隊等の責任において的確に傷病者の管理をしなければならない。

(1) 管理責任

救急隊に傷病者を引き継ぐまでの傷病者の管理責任は、消防隊等の指揮者とする。ただし、現場に医師がいて当該医師が傷病者の管理を行う場合を除く。

(2) 所持品の取扱い

傷病者の観察及び救急処置に当たっては、その所持品及び遺留品の取扱いには十分留意し、紛失等の防止に努める。

2 関係者等への対応

傷病者の急激な状況変化に直面し、傷病者と同様に、精神的な混乱や不安等の状態に陥っていることがあるので、家族及び関係者等に対しても気配りのある温かい態度で接する。

第5 救急隊との連携

1 救急隊後着時の措置

消防隊等の指揮者は、到着した救急隊長に二次災害の危険性、事故概要、傷病者数、観察結果及び処置内容等その他活動上参考となる情報について手際よく伝達するものとする。

2 救急隊との連携

消防隊等の指揮者は、自己隊員の救急技術の資格状況を救急隊長に告げ、その指示の基に積極的に救急活動を行うとともに、活動全般の安全管理に十分留意する。

(1) 救急処置等

① 人工呼吸及び胸骨圧迫心臓マッサージを実施している場合は、処置の継続及び交替要領について救急隊員から指示を受けるまでは、処置を中断しない。

② 止血処置を行った場合は、出血量、損傷範囲、出血状況及び持続の有無を記録して正確に伝達する。

③ 容態変化があった場合は、容態変化前の傷病者の主訴及びバイタルサイン等について記録し、確実に伝達する。

④ 救急隊到着前に傷病者を移動した場合は、移動前の場所を明示する。

⑤ 救急隊長の指示により救急処置を継続又は新たに実施する場合は、救急隊員と連携を密にして対応する。

(2) 救急車内収容時

① 救急隊が静脈路確保を実施した場合の静脈留置針の取扱いには、細心の注意を払い受傷事故を防止する。

② 自動式人工呼吸器を継続使用して搬送する場合で、自動式人工呼吸器を保持する場合には、傷病者と適宜な距離を保ち持続ホース等に過度の負荷がかからないようにする。

③ 輸液バッグを保持して静脈路確保を実施した傷病者を搬送する場合は、処置中の輸液ライン等の抜け及びはずれが生じないようにする。

④ 傷病者を車内収容するためにストレッチャー等を確保する場合は、握り部等の定められた位置で保持するとともに、背筋を伸ばし腰背部痛等の受傷事故を防止する。特に不用意に動揺を与え、傷病者が転落することのないよう安全ベルトを装着し、安全搬送に十分留意する。

第6 感染防止等

1 感染防止

(1) 感染防止の基本

救急業務等に関しての感染防止対策は、事前対策及び事故発生時の対応を基本とする。

(2) 感染防止対策

救急処置を行う場合は、ゴム手袋、マスク及び感染防護衣等の着用を行い、標準予防策に徹する。また必要に応じて傷病者にもマスクの着用を求める。

(3) 感染事故発生時の基本対応

消防隊等の指揮者は、消防隊員が活動の実施に際し、感染症又はウイルス性疾患等の感染性病原体により感染、若しくは感染の危険が生じた場合、また血液等による汚染事故が発生した場合は、「感染防止対策要綱」に基づき、必要な措置を講じるものとする。

(4) 感染の危険が生じた場合の応急処置等

① 消防隊員及び関係者の皮膚等が血液等で汚染された場合は、速やかに大量の流水で十分に洗い流し、石鹸等を使用しよく洗う。

② 血液等で汚染された静脈留置針による針刺事故の場合には、直ちに傷口より血液を絞り出し、流水で洗い流す。

③ 創傷への血液等曝露の場合には、異物や汚染等を流水で洗い流しながら除去し、清潔な被覆材により保護する。

④ 血液等が目や口に入った場合は、直ちに大量の水で洗い流す。

(5) 廃棄物処理

活動に伴い傷病者の血液、体液等が付着したもの及び付着したと思われるものは、現場に放置せず、PA連携を実施した救急隊に処理を依頼する。

(6) 感染防止対策の基本

「感染防止対策要綱」に基づくものとする。

2 妨害行為発生時の措置

(1) 基本行動

① 妨害行為によって消防隊員等が負傷したり、ポンプ車両等に損傷を受けると、適正な救急業務全般に大きな影響をおよぼすことを認識し、事前の事故防止に十分留意し活動する。

② 事故発生時は、傷病者及び消防隊員等の安全確保に十分に留意しながら、警察官と緊密な連携を図り、適性に対応する。

(2) 防止対策

① 催し物会場及び集団行動等の現場へ出場指令があった場合は、あらかじめ妨害行為を予測して事故防止に留意する。

② 活動中は、不安感や焦燥感にある傷病者及び家族等関係者の心情や立場を理解し、沈着冷静な規律ある態度で行動する。

③ 状況聴取は、言葉使いや動作に留意し、粗野及び粗暴にならないようにする。

④ 傷病者及び関係者等の言動から、消防隊員等に暴力を振う恐れがある場合は、現場の警察官の協力を求める。また、警察官が不在の現場においては、指令室に状況を報告し警察官を要請する。

⑤ 救急処置が必要と認められる傷病者で、救急処置を拒否し暴力を振う恐れがある場合は、現場の警察官の協力を得て救急処置を行う。

警察官が不在の現場においては、④に準じて警察官を要請するとともに家族等関係者がいる場合は、これらを介して説得に当たらせる。

⑥ 現に暴れており、消防隊員等に危害を加えると判断される場合は、一時的に避難して、暴力を受けないよう留意し、指令室を通じて警察官を要請する。

⑦ 妨害行為が発生した場合の消防隊員等の行動要領及び任務分担を事前に指示しておく。

(3) 発生時の行動

① 安全管理に留意して活動することを原則とする。

② 消防隊員等が負傷した場合は、速やかに救急処置を行う。

③ 妨害行為により活動の継続実施が困難な場合は、速やかに概要を当直責任者に報告し、組織的な対応を図る。

④ 被害の軽重にかかわらず、当直責任者を通じ現場へ警察官を要請する。

⑤ 警察官が現場に到着した場合、妨害行為の状況を速やかに通報し、消防隊員等の安全確保及び活動の協力を依頼する。この際、警察官の所属、職名及び氏名等を聴取する。

⑥ 妨害者との対応は、被害の拡大防止を図るため、興奮したり感情的となって相手を刺激することのないよう、沈着冷静な毅然たる態度で接する。

⑦ 現場保存や証拠となる物件の確保を行うとともに、目撃者を確保し、住所、氏名、連絡電話番号、目撃位置及び内容等を把握する。

⑧ 消防隊員等が行った措置状況を傷病者及び家族等の関係者に説明し、消防隊等の行動を理解させる。

別表1 観察区分等

区分

方法

(1) 顔貌

表情や顔色を見る。

(2) 意識の状態

① 傷病者の言動を観察する。

② 呼びかけ及び皮膚の刺激に対する反応を調べる。

③ 瞳孔の大きさ及び変形の有無等を調べる。

④ 懐中電灯等光に対する瞳孔反応を調べる。

(3) 出血

出血の部位、血液の色及び出血の量を調べる。

(4) 脈拍の状態

総頸動脈、大腿動脈等で脈の有無、強さ及び早さ等を調べる。

(5) 呼吸の状態

① 胸腹部の動きを調べる。

② 傷病者の鼻及び口元から空気の動きを感じとる。

(6) 皮膚の状態

皮膚や粘膜の色及び温度、付着物や嘔吐物の有無及び性状、創傷の有無及び性状、発汗の状態等を調べる。

(7) 四肢の変形や運動状態

四肢の変形及び運動の状態を調べる。

(8) 周囲の状況

傷病発生の原因に関連した周囲の状況を観察する。

別表2 意識レベルの評価(3―3―9度方式)

刺激しなくても覚醒している状態

1

大体意識清明だが、今一つはっきりしない。

2

時・人・場所がわからない。(見当識障害)

3

自分の名前、生年月日が言えない。

刺激すると覚醒する状態―刺激をやめると眠り込むー

10

普通の呼びかけで容易に開眼する。「合目的な運動(たとえば、右手を握れ、離せ)をするし、言葉も出るが間違いが多い。」

20

大きな声又は体をゆさぶることにより開眼する。(簡単な命令に応ずる。たとえば、離握手。)

30

痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する。

刺激しても覚醒しない状態

100

痛み刺激に対し、はらいのけるような動作をする。

200

痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる。

300

痛み刺激に全く反応しない。

大東四條畷消防組合消防隊及び救急隊等との連携活動に関する基準

平成26年4月1日 種別なし

(平成26年4月1日施行)

体系情報
第7編 務/第2章
沿革情報
平成26年4月1日 種別なし